たばた裕明の活動報告

たばた裕明の取り組みや思いをお伝えいたします

活動報告

永田町通信 第66号

2020.05.17 up

   ~雇用調整助成金の上限を倍増!1万6000円台以上に 申請手続き簡素化も重要~
                                              令和2年5月18日

 現在、国会では会期末の6月17日まで1ケ月を切り各委員会での法案審議の終盤に差し掛かっています。参議院での審議時間を考慮すると残り1ケ月間はびっしり審議カレンダーが組まれている状態であります。同時に、自民党内では2次補正予算案に盛り込むべき政策議論が続いています。労働者の雇用を守る「雇用調整助成金」に関して「毎日新聞デジタル版政治プレミア」に私の主張が掲載されました。掲載原稿をアップします。ご一読ください。

以下、原稿です。

 新型コロナウイルス感染拡大防止のため、休業要請に応じた中小企業等が苦しんでいる。政府は、中小企業等が雇用を維持できるよう、従業員に休業手当(賃金の6割以上)を支払う企業に助成する雇用調整助成金の制度を拡充した。しかし、非常事態宣言が延長され、企業は疲弊する一方であり、解雇を防ぎ、失業者を出さないためには、今以上に踏み込んだ拡充が必要だ。政府には迅速に、雇用調整助成金の一人当たり上限額を現在の8,330円から倍増し、1万6000円台以上に引き上げ、申請手続きを大幅に簡素化するよう求めたい。


 緊急事態宣言により全国の多くの各都道府県知事は、基本的対処方針に基づき時間短縮営業や休業要請を行った。感染拡大防止に必要な措置とはいえ、休業要請の対象業種だけでなく、あらゆる業種の中小企業・小規模事業者から「これまでと全く次元が異なる事態で、経済の先行きが見通せない」として、事業継続に関する懸念や心配の声が相次いでいる。とりわけ固定費である人件費や家賃・光熱水費、納税や各種保険料納付に関して当座の資金繰り懸念の悲鳴とも言える声が寄せられている。
 私は、自民党雇用問題調査会事務局長として、特に4月上旬以降、雇用調整助成金の活用を大幅に推進すべきだとの認識で党内での議論を整理し、政府、厚生労働省に改善を促してきた。だが、使い勝手は悪く、まだまだ現在の危機に対応できているとは言いがたい。


 雇用調整助成金は、主に製造業の生産調整に伴う休業を念頭に活用されてきた側面が大きい。しかし、今回のコロナ禍は全業種が影響を受けており、飲食業やサービス業など、これまで従業員の休業調整の必要性があまりなかった業界でも申請せざるを得なくなっている。このため、事業主が助成金の給付条件を満たす帳票類がそろっていないケースなどが多発しているのが実態だ。
政府は4月1日から、①週20時間未満の労働者にも適用、②申請書類は記載事項を約5割削減、③必要な添付書類の削減――などの特例措置を行っている。これ自体は評価したいが、自民党雇用問題調査会としては、それでも不十分と考え、「一人当たり上限額の大幅な引き上げ」「支給までの柔軟化・迅速化」「相談体制の充実のためハローワークの人員増強」などを4月24日に加藤厚労大臣に対して要請した。
政府は要請に対し、真摯に対応してくれようとしていると思う。しかし、そもそも上限の金額が低い。条件はさまざまで一概には比較できないが、ドイツは同様の制度で労働者一人当たり月額約35万円を上限(賃金の手取り60%)とし、イギリスは賃金の80%、月額約33万円を上限としている。やはり上限はドイツ並みの月35万円水準まで引き上げる必要があるのではないか。働く日数を22日間程度とするならば、日本も上限を1日1万6000円以上にすべきだろう。上限額を倍増し労働者の手元に渡る金額に柔軟性を持たせるべきだ。


 また、中小零細企業には、家族経営の業者などでは、給料や労務に関する管理台帳をきちんとつけている余裕がなく、必要な帳票がそろえるのが難しいケースは多い。さらに説明書類には法律的な専門用語が多数使われており、用語が難しくて申請書が書けないという現場の苦悩もよく聞く。あらゆる業種が使えるようにするためには、申請のハードルを低くするのが肝要だ。添付書類がなくても当局が労働保険料納入通知書や納税記録などを参考にできるようにしたり、書類の表記を簡易にしたりするなど、利用者目線に立った手続きの改善をさらにしなければならない。

 政府は、その都度、改善しようと努力しているのかもしれないが、対応策を「小出し」にしている印象が強い。小出しの改善では、現場が混乱してしまう。上限の引き上げや手続きの大幅な簡略化は制度改善の大きな柱だ。政府は時限的でもいいから、危機を乗り切るためとして、思い切った対応を迅速にするべきだ。以上